こんにちは☀
西オーストラリア州で兼業農家をしております、ナイーブMEです👩🌾
生後2日目にして母ヤギを失った孤児ヤギのボィボィとガルガル。
私が母代わりとして、寝る間を惜しんで愛情たっぷりに育ててきました。
そんな2匹が11月23日に死んでしまいました。
あまりにも急なことで、私自身もかなりショックで落ち込みましたが、彼らの生きた軌跡を残したくブログに書くことにしました。
今月も忙しくしていたのでブログ更新が滞っていましたが『㊗️ボィボィ・ガルガル卒乳!』というタイトルで下書きもしていたので、まずはボィガルの成長をお届けしてから、彼らとの別れのときまでを書きたいと思います。
ボィボィ・ガルガルとは
冒頭でも触れましたが、生後2日目にして母ヤギが急死してしまった双子の孤児ヤギです。
オスはボーイから由来してボィボィ、メスはガールから由来してガルガル。2匹合わせてボィガル🐐🐐
ヤギは我が子にしかお乳を飲ませないので、私と旦那氏が哺乳瓶で授乳していました。多いときで1日5回の授乳で朝は5時、夜は10時で毎日寝る間を惜しんで育てました。
最初は上手く飲めず赤ちゃんのように抱っこして飲ませたり、全部飲めたら褒めまくったり、食欲が無いと心配になって毎時間のように様子を見たりしているうちに情が湧いてきました。
人間にとても近しい状況で育ったボィガルは他のヤギの集団から常に距離を置いていましたが、他のヤギと同じように行動して欲しかったので後ろ髪を引かれる思いで突き放したことも。
無事に初めて過した屋外の夜は明けました‼️
— 兼業農家👩🌾ナイーブME in 🇦🇺 (@kengyonouka) 2021年10月12日
昨夜は嵐のような天気で、心配で心配でボィガルの夢を見てしまった😅
今朝も久しぶりにぐんと冷え込んで5℃🥶
ボィガルは暖かいミルクを一気に飲み干しました🍼🐐🐐#ヤギ #子ヤギ https://t.co/IJZCaB3RHO pic.twitter.com/gmF6PJpZ8Z
それでもかけ寄ってくる愛おしい存在。
他の子ヤギが木登りするのをボィガルは遠くから眺めているだけだったので、旦那氏といっしょに木登りを教えたこともありました。
こんな感じで私たちの子どものように育ったボィガルの詳しい生い立ちなどは、こちらの記事に書いています↓
ボィガルの基本的な性格
♂ボィボィ
いつまでも指吸いの癖がとれない超甘えん坊。
とにかく触ってくれる人全ての指を吸いまくっては、相手をメロメロにさせます。
あごを触ったり掴まれたりするのが大好き。
とにかく甘ったれの可愛いボィボィ♡
私に対しては積極的ですが、その他にはシャイでいつもガルガルの影に隠れて様子をうかがうシャイボーイ。
♀ガルガル
産まれて2週目までは歩くのも遅く、またミルクを飲むのが下手で赤ちゃんのように抱っこしたり股の間に挟んだりして手のかかったガルガル。
しかし、3週目からはボィボィに優る食欲に!
好奇心旺盛で、草食べも木登りもヤギジャンプもガルガルが先に習得しました。
こんな風に重機があるとガルガルは上りますが、ボィボィは離れたところで見ている感じになります。
そのわりに、ガルガルはカメラを向けるとそっぽを向くので、ボィボィに比べてソロ写真が極端に少ないです。
ボィボィが顎を触られるのが好きなのに対して、ガルガルは私がしゃがんでいると股の間に頭を埋めてじっとするのが好き。
その写真はありませんが、股の間に挟まれてミルクを飲んでいたせいかな?
卒乳までの道のり!
以前の記事ではボィガルは乳離れの練習中ということで終わっていたので、その続きを紹介します。
授乳を減らす
ピークの4週目では1日1700㎖のミルクを4回に分けて与えていましたが、それ以降は少しずつ量と回数を減らし、6週目で完全に乳離れをさせるという計画でした。
ミルクを減らせば草を食べ始めるというセオリーですが、そう簡単にはいきません。
今までミルクを全部飲んだら褒めてもらえていたボィガルにとって、次はミルクが減らされるだなんて意味不明。いつものミルクタイムに来ない私をゲート前で待っているのが分かって胸が苦しくなりました。
これは我が家の朝食を食べる室内ベランダからの景色。
— 兼業農家👩🌾ナイーブME in 🇦🇺 (@kengyonouka) 2021年10月16日
他のヤギは右奥の林の中にいるけど、授乳を期待してゲート前でボィガルが待機してるー😭😭😭
40mくらい離れてるし、向こうからはこちらの姿は暗くて見えてないと思うけど、胸が締め付けられるわ😢
草でも食べておくれ。#子ヤギ #乳離れ中 pic.twitter.com/pCfqspE8HT
最初のうちは草に興味がなくひたすらミルク待ちなところもあり痩せていきました。心配になってミルクを少しあげると、草への興味が更になくなってしまいます。
他のヤギが放牧エリアへ出かける中、もらえもしないミルク待ちで私の姿ばかりを追うボィガルでしたが、ガルガルが先に草への興味を持ち始めました。
実はガルガルは、温室生活していたときにイチゴや野菜の苗を食べる常習犯でした。
いつもボィガルはいっしょにいるので、ガルガルが食べ始めるとボィボィも食べるようなったのです!
これをミルクの時みたいにこねくり回して褒めたかったですが、私の姿が見えるとミルクを期待されてしまうので静かに遠くから見守っていました。
ボィガルとかくれんぼ?鬼ごっこ?
ヤギは集団行動をするので、他のヤギがしていることを真似します。
子ヤギは親が草を食べているのを見て食べ始めますが、ボィガルが常に集団と別行動をしていたのも草をなかなか食べなかった原因かと。
ということで、ボィガルを集団へ連れて行きました。
ボィガルは私の後をついて歩くので連れて行くのは簡単ですが、置いて帰るのが至難の業。
ボィガルがよそを向いた瞬間に木の裏に隠れたり、地面に伏せて背の高い草やフェンスの影に隠れたり、置き去りにして猛ダッシュでボィガルが飛び越えられないようなフェンスを私が飛び越えたりとかくれんぼのような鬼ごっこのようなことを何度も何度も繰り返しました。
隠れながらボィガルが私を探す声が聞こえたり、フェンス越しに可愛い顔が見えると思わず戻って抱きしめたくなりましたが、これも乳離れのひとつとして言い聞かせて我慢しました。
今思えばボィガルの乳離れというか、私の子離れでもあったんですけどね。
㊗️集団の一員に!!
草を食べるようになったものの、やはりどこかで私の姿を探しているボィガル。
私は私でボィガルから姿が見えないように気をつけて生活するものの、やはり気になって少し様子を見に行ってはバレてしまい草食べを中断させてしまうこともしばしば。
しかし、6週目を過ぎてから建築仕事で長時間外出する機会が増えました。
最初は心配でたまりませんでしたが、実はこれがよかったようで、これを機にボィガルが完全に集団の一員になったのです!
これまでの中途半端に姿が見え隠れした生活では何か期待していたボィガルも、丸一日会えないと完全に諦めたようです。
草食うボィガル🌿☘️🐐🐐
— 兼業農家👩🌾ナイーブME in 🇦🇺 (@kengyonouka) 2021年10月26日
カメラを向けても私を気にせず食べ続けられるようになった😊#ヤギ #子ヤギ pic.twitter.com/qcE5Bu1qaT
成長する姿に嬉しさと、ちょっと寂しさもありましたが、これぞヤギとしてあるべき姿なので誇らしく思いました。
いくら集団の一員になったとて、私のことは忘れていません。
呼べばやってきます😊
今日のボィガル🐐🐐
— 兼業農家👩🌾ナイーブME in 🇦🇺 (@kengyonouka) 2021年11月8日
私の足元までやって来るのはもうボィボィだけ🙄
そろそろボィボィも玉留めの儀をせなあかんけど、それしたらもう来てくれなくなるかも🥲#子ヤギ #ヤギ #やぎ #山羊 pic.twitter.com/pi7ALxzZZF
玉留めの儀
我が家のオスヤギは、種ヤギとして将来有望そうなもの以外は全て去勢します。
ヤギの去勢では睾丸を輪ゴムのようなもので絞めて成長を止めるという方法で、私はこれを玉留めの儀と呼んでいます。
小さいうちに済ませておく方がヤギにとって痛みが少なく、また儀式を行う私たちととしても捕まえやすくて楽です。とはいえ、あまりにも睾丸が小さいと輪ゴムがずり落ちるので、そこまで小さい子は大きくなるまでは対象外ですが。
詳しい儀式の様子はこちらの記事に書いています。
ボィボィの母ヤギは純血ではなかったので、ボィボィは種ヤギには向いておらず去勢する運命です。
今シーズンは子ヤギ100匹が産まれて、ここから種ヤギを育てる予定はないのでそのうち50匹がその対象になるわけです。
子ヤギラッシュは約2ヶ月続いたので儀式は間をあけて2回開催しましたが、なんとボィボィはどちらの儀式でも睾丸が小さすぎるので対象になりませんでした。。。
生後3週の3つ子さえ儀式を済ませたのに、生後10週のボィボィはそれよりも小さかったということです。
この様子をある意味微笑ましく思い、だからボィボィはまだまだ甘えたなのね〜と笑って済ませていましたが、今思えばこれが発育不良のサインだったのかもしれません・・・
ボィガルの異変
その後も他のヤギと集団行動をして草をよく食べ、私へのがむしゃらな飛びつきも減っていきました。
それでもボィボィは私を見ると挨拶のように鳴いて声をかけ、1日1回は接触して痩せ具合や下痢がないかなどの確認はしていました。
ある日の夕方、全てのヤギを休息エリアに移動させているといつも私の姿を見ては走ってくるボィボィの姿がありません。
どうしたことかと探してみると、集団の最後尾をノロノロと歩いています。
私を見て鳴きはするものの、いつものような元気な走りではなく、少し心配になって抱っこして移動させました。ガルガルもボィボィの傍で似た感じだったので、抱っこ移動。
休息エリアに届けて、『しんどいなら無理して他のヤギについて行かなくてもいいんだからね。』と声をかけてその日は終わりました。
翌朝にはその言葉の通り放牧エリアには行かず、以前もらえぬミルクを待っていたときのように休息エリアに座り込んでいました。
様子を見に行くも、草は食べているし特に痩せているわけでも下痢しているわけでもありません。
いつもよりも甘えん坊度は増しているような感じがあったので、抱っこしたりこねくり回したり、股の間に挟んだりしながら様子をみていました。
翌朝も放牧エリアへ行かず。
でも食欲も並にあるし、下痢もしていない。
ヤギにとってはおやつであるオーツ麦をあげるとムシャムシャ食べます。
以前も元気がないときがありましたが数日すれば元通りになっていたので、明日になれば元気になるだろうと思っていました。
そして翌朝、前日居座っていたエリアを見に行くとボィガルの姿はなく、元気になって放牧エリアに行ったのかと思って胸をなで下ろし家に戻ろうとしたら、視界の隅っこに茶色い石みたいなのが草むらの中に見えました。
しかし、それは石ではなくうずくまったガルガル。
その先に憔悴しきったボィボィが横たわっていました。
彼らに駆け寄ると、ガルガルは立ち上がって私に寄ってきましたがボィボィは目も虚ろで息が浅い。
私はパニックになって家に戻り、旦那氏に状況を伝えてミルクを作って彼らの元に戻りました。
戻るとガルガルがボィボィにピッタリ寄り添っていました。
ボィボィの様子を見て手遅れだということは経験から分かっていたので、まだ気力のあるガルガルを先に飲ませ、そのあとにボィボィを抱っこして口先にミルクを付けてあげました。
何を言ったのか覚えていませんが、ボィボィを赤ちゃんのように抱っこして話しかけているうちに息を引き取りました。
ガルガルもそれが分かったのか、その瞬間大きな声でメーっと声を上げました。だって、いつもいっしょだったもんね。
そんなガルガルも容態が急変し、ボィボィの死から約3時間後に私の腕の中で息を引き取りました。
死の直前も特に痩せているわけでもなく、下痢もなし。
同じに日死んでしまったことを考えると、母乳を十分に飲めなかったことで不足していたものがあったと考えられます。
人間の赤ちゃんはへその緒を伝って母親から抗体をもらいますが、ヤギの場合は母乳からそれが行われます。
生後2日目にして母を亡くしたボィガルは冷凍保存してあった他のヤギの初乳を数日間飲み、その後は粉ミルク生活でしたが、それでは不十分だったのかな。
ワクチン接種をした方がよかったのかな。
授乳期間をもっと長くした方がよかったのかな。
玉留めの儀ができなかったこと笑ってる場合じゃなかったよね。
数日前に調子悪いときに、もっと深刻にとらえたほうがよかったな。
などなど、後悔と反省に押しつぶされながら大泣きしてしまいました。
そんな私を見て旦那氏が、たくさんの愛情をもらって育った彼らは幸せだったよ、と言ってくれました。
彼らが死んでから他のヤギを見るのも辛く、見ても色を失った世界のように感じました。
しかし、ヤギ飼いとして毎日のルーティンをこなさないといけないので、夕方の確認に行くと1匹の子ヤギが母ヤギとはぐれて鳴いていました。
その子を拾い上げたとき、またボィガルに対する色んな思いが混み上がってきたと同時に、ヤギを心から可愛いと思い、この子たちを守っていかないとと温かい力が湧いてきました。
ツイッター上でもボィガルを可愛がってくれる人がたくさんいたので、彼らの死を報告するとたくさんの温かい言葉をいただきました。
同じ日にこの世に生まれて、同じ日に去ったボィボィとガルガル。
これでようやく本当のお母さんに会えてお乳飲み放題、顔をうずくめ放題できていると願っています。
ボィボィ・ガルガル、80日間私といっしょにいてくれてありがとう。