ナイーブなMEは兼業農家

西オーストラリア州南部で建築とヤギ飼いの兼業農家。自給自足の生活を目指します!

1月になると思い出すレモン事件


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こんにちは☀

西オーストラリア州で兼業農家をしております、ナイーブMEです👩‍🌾

 

みなさま、遅ばせながら新年明けましておめでとうございます◎

新年一発目の記事を何にしようかと考えていましたが、1月になると心が酸っぱくなって思い出すあの事件についてお話ししようと思います。

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あれは結婚してすぐの、2016年1月のこと・・・

レモン事件

新婚ホヤホヤ生活のはずが・・・

2015年11月11日に日本の市役所で入籍し、新婚夫婦で日本を堪能してオーストラリアへ戻って来たのが11月末。

ケアンズに住む旦那氏の息子家族が、2月にアデレードで開催されるフリンジフェスティバル用にステージを作るために、クリスマスから1ヶ月ほどファームに来ました。

ってか、ケアンズから我が家へ向かうのにフェス用の荷物が多過ぎて牽引の助けが欲しいと言われ、12/10から1週間ほどかけて我が家から4200km離れたエメラルドという町まで迎えに行きました。

往復8400kmのロードトリップからファームに戻ってきたのが12/23で、その日から彼らがファームにいたわけです。

そして、年末からはフェスのチームが続々とファームにやってきてリハーサルが始まりました。

その数は最大時で12人。

見た目も中身も個性も自我も超強いパフォーマーが12人我が家に滞在したのです。

新婚ホヤホヤ時にです。

旦那氏の息子にとってはこれが初めてのフリンジフェスティバル参戦だったので、旦那氏は彼らを助けてあげたい気持ちが大きく、パフォーマーが来てリハをすることを了承していました。

私としても、旦那氏がそこまで息子たちのことを思うならともちろん同意。

しかし、実際に彼らとの生活はでした。

皆さん大の大人ですが、世界を飛び回るパーフォーマーは自己中が多い!生活スタイルはバラバラだし、それを人と合わせようとする態度は微塵もないし。

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それを仕切るべくリーダーの息子は人生最大のプロジェクトの難航にイライラしているし、父である旦那氏がアドバイスしようとしたら喧嘩になるし。。。

とにかく、結婚してまだ3ヶ月も経っていない期間に、個性の超強い他人12人との共同生活をストレスと共に送っていました。

パンチョ登場

パフォーマーのうちの1人に、パンチョと呼ばれる男性メキシコ人がいました。

パンチョに会う前には旦那氏息子夫婦からは、彼のパフォーマンスはファンタスティクだし、彼自身がフレンドリーで人間性はアメイジングだと聞かされていました。

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その話を聞いてから数日後に、パンチョがメキシコからはるばる我がファームまでやって来ました。

評判通りの感じのいい男で、おしゃべりと料理が大好きな人です。

私はメキシコにも旅行に行ったことがあるので、パンチョとけっこう話していましたが旦那氏はあまり入ってこず。

どうした事かと聞くと、調子に乗った感じがあまり好きじゃないとのことでした。私からしたらメキシコ人なんてこんなもんやろーってくらいで、むしろ非英語ネイティブなので話しやすいパフォーマーの1人でした。

パースへ買い出し

パンチョは時間があればキッチンに立ち、メキシコ料理を作ってみんなに振舞っていました。

1月中旬のある日、私と旦那氏は建築仕事でパース方面へ数日行くことになり、パフォーマーらに買い出しに必要なものがないか聞きました。

息子嫁からはみんなの要望を聞いた買い物リストを渡され、その横でパンチョが急にレモンも欲しいと言いました。

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確かにメキシコ料理によく使うもんねと思いながら了承して、旦那氏とファームを去りました。

パースへ行き仕事をしましたが、私がある道具を忘れてきてしまったがために作業が難航してしまいました。

ようやく仕事が終わり、予定よりもだいぶ時間が押してしまいましたが帰りには買い物へ行くことに。

パースからファームまでの帰り道にあるスーパーは限られているので、買い物は出来るうちにしておかないといけません。

1軒目のスーパーでは息子嫁リストの物は買えましたが、パンチョ用のレモンは売り切れでした。

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次に見かけたスーパーに寄ってレモンを買うのか思いきや、旦那氏は止まりません。

そこで私が、『レモンまだ買ってないよ』と言うと『知ってる。でもトレーラー牽引しててあのスーパーには寄れない。』と旦那氏。

それからも何軒か通り過ぎるので、『レモンのこと覚えてる?』と言うと、『覚えてる!』と口調の強い返事が。

なぜだか機嫌が悪そうでしたが、私としては人に頼まれたことに責任を感じるので、レモンを買う責任を担っています。

そして、次のスーパーもスルーした時に『私だけスーパーの前に降ろしてくれたら、レモン買いに行くよ』と言ったら、『レモン、レモンうるさいんだよ!!』とキレられました。

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私としては責任を果たそうとしているだけなのに、キレられる理由が見つからず私もキレ返して車内で大喧嘩が始まりました。 

私の主張は、人に頼まれたことには責任を持つべき。

旦那氏の主張は、家族でもないうえにあんな調子乗りのためにわざわざ時間を割いて駐車が大変な買い物はしたくない。

ここに大きな感覚のズレを見つけました。

私の育ってきた感覚としては家族よりも他人様を優先してきたのですが、旦那氏は他人よりも家族や自分を優先して生きてきたのです。

当時はこの旦那氏の感覚が全く理解出来ず、また旦那氏も私の感覚が理解出来ず喧嘩はヒートアップ。

私が責任を果たしたいだけと言えば、お前はそんなにパンチョが大事かと言われ、パンチョ関係なく誰に頼まれてもそれは大事なことだと返せば、自分たちより他人が大切なのかと返され、この自己中ヤロー!と泣き叫んでしまいました。

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新婚2ヶ月目にして初の大喧嘩で私はパニックになり、これ以上一緒にいたくないから車を降りると宣言するほど。

後にも先にも、こんなに叫ぶような喧嘩をしたのは最初で最後かもしれません。

これをレモン事件と呼んでいます。

レモン事件の結末

ガソリンスタンドの併設しているスーパーに寄り、旦那氏が給油している間に私1人でレモンを買いに行きました。

ファームに着いてパンチョにレモンを渡すも、彼はレモンのことをすっかり忘れていました・・・

お前のレモンのために大喧嘩したんやぞ💢と言いそうになるも堪えていると、ほら見ろ。っと旦那氏の声が聞こえてきそうでした。。。

そして、パンチョのことをあんなにファンタスティックでアメイジングだと褒め称えていた息子夫婦でしたが、フェスティバル中のパンチョの素行の悪さに愛想つかし、フェス最終日には旦那氏の息子にケンカをふっかけたパンチョが警備員に取り押さえられ退場させられたそうな。。。

ほーら見ろ!っと、またまた旦那氏の声が聞こえてきそう・・・

レモン事件の反省点

レモン事件の後は数日間お互いに最低限しか口を利きませんでしたが、気持ちが落ち着いてから話し合うことができました。

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当時の私の基本的な考えとしては、例えばもし家族と他人に買い物のお願いをされた場合、私は他人の買い物を優先するべきだというものでした。

そのため私は自分は100%悪くないという思いが強く、旦那氏を自己中だと100%責めました。

旦那氏の考えは、他人優先とかおかしい。自分たちに必要な道具を忘れるのに、他人の(しかもお調子者)頼まれごと(たかがレモン)に執着していたのが意味不明。そのうえ、道具忘れのために仕事上がりが遅くなり、暗くなる前にファームに着きたいのにレモンだけのために時間は割きたくなかったということです。買い物に行ったのは事実なんだし、売り切れだったゴメンね。と言えばいいじゃないかという考えでした。

お互いの考えが混じり合うことはありませんでしたが、とにかく新婚生活が他人との共同生活に侵されお互いにストレスだったので、酷い言い争いになったことはお互いに謝りました。

そして、これぞ異文化理解が必要で、否定ではなくお互いに理解し合う努力が掛けていたことに気づけました。

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今になってこうやって事件の概要を文字で表すと、そもそも道具を忘れたのは私なので確かに自分にも非はあります。

いや、めちゃくちゃ私に非があります。

道具を忘れたがために旦那氏に相当な負担をかけ、しかも当時の車はMT車なので帰り500kmの道のりの運転は旦那氏のみ。

夜道運転はただでさえ危ないのに、レモンのためだけに寄り道して帰りを遅くしたくない旦那氏の気持ちは5年経った今なら分かります。

しかし、当時はかなり理解に苦しみました。。。

日本人としての感覚?

レモン事件が落ち着いてからも、実は数年ほどは自分は悪くないと思っていたところがあり、一時帰国の度に色んな友だちにレモン事件の話をして意見を聞きました。

レモン事件と合わせて『家族と他人に買い物のお願いされたらどちらを優先するか?』ということも聞いてみました。

他人に頼まれたことを優先する感覚は日本人共通のものだと思っていたので、友達は絶対に私の味方だと思っていましたが、案外そうでも無いことに驚きました。

一度買い物に行って売り切れてたらしゃーないやん。物にもよるけど、他人と家族やったら家族の買い物を優先するかな。

と言われたのです。

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どうやら私のこれまでの人生は、自己犠牲や身内を犠牲にしてまで他人ヨイショをしすぎていたのかもしれないと思い始めました。

私が日本人の感覚だと思っていたのは、もしかしたら筋金入りの体育会系人生を送ってきたのが原因かもしれません。

我慢や忍耐が美徳とされ、先輩や先生のために自己犠牲を払うのが当たり前の世界に長くいたので、社会人になってからもその癖は抜けませんでした。

日本だとそれをしても普通に感謝されるので、自分は良いことをしていると信じていました。しかし、レモン事件で初めて人にキレられたのです。しかも大好きな旦那氏に。

オーストラリア生活6年目の私

こうやって30年以上他人ヨイショで生きてきた私ですが、オーストラリア生活6年目にもなると自分と家族優先、いや、自分と旦那氏優先になりました。

レモン事件以降も、他人に振り回されて一人で疲れることが度々ありましたが、オーストラリアで学んだことは『人は案外他人に期待していない』ということです。

オーストラリアならではの感覚かもしれませんが、時間通りじゃなくたって、お釣りがきっちりなくたって、物がちょっと違うからって、別に大したことないんです。

相手が自己犠牲を払ってまでその行為をしているだなんて、誰も思ってもいないんです。

だったら自分や家族を大事にした方がいいよねって思えるようになりました。

今ならレモン事件に関しては自分が悪かったと認めることができます。

今まさにパースから建築仕事帰りの道中ですが、他人のために寄り道をしてレモンを買いに行く元気はありません。

一刻も早くファームに帰りたいので寄り道はしません。

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もし、昔の私のように他人軸で生きている人がいたら、是非わがままに生きてみてください。

あなたが思うほど、人は気にしていませんよ!

 

この学びを、私は『レモン事件』と呼んでいます🍋