こんにちは☀
西オーストラリア州で兼業農家をしております、ナイーブMEです👩🌾
2020年8月3日に記録的な大雨が降りました!!!その量、
24時間で107mm☔
数字だけ見ると大したことないかもしれませんが、今年に入って191mmしか降っていなかった私たちにとっては大ニュースです!
日本では豪雨によって命を落とした人もいて、私の大雨で喜ぶ記事はちょっとよろしくないと思う人もいるかもしれませんが、私たちは私たちで雨が降らないことによって大変な思いをしてきました。
実は現在このエリアは、過去百年で最もひどい干ばつ中です。
この干ばつ、そしてコロナの影響が追い打ちをかけ自ら命を落とそうとした人もいます。
この雨はこのエリアにとっては恵み以外の何ものでもありません。
旦那氏の苦労が報われたと思うと、私はこの雨を心の底から喜んでいます。
今日はこれまでの苦労とこの喜びをどんと語ります。
我がファームエリアの水事情
まず、知っておいてほしいこととして、我がファームエリアには水道が通っていません。
地下水が通っていない場合は、人間の生活用水は雨水のみ。
家畜には雨水が溜まったダムの水を与え、作物には雨が直接降り注ぐだけ。
つまり、雨が降らないと仕事も生活も回らなくなります。
10月~3月が乾季、4月~9月が雨季で通常の年間降水量は600mmというエリアです。
3年連続の干ばつ
このエリアで降水量の記録を取り出したのが1920年からなので、今年でちょうど100年。その記録を見返していくと、2018年から現在までの3年間が最も降水量が少ないと言われています。
私は2015年中旬に初めてファームに来ましたが、2018年10月まではファーム⇔セカンドハウス⇔パースへの行き来が激しい移動生活をしていたので、基本ファームに滞在するのは長くて1週間程度でした。
そのため干ばつ前と現在の比較が正確にはできないのですが、2018年から乾燥していることは目に見えて分かっていました。
2018年の雨季(4月~)
このエリアは晩秋から冬(4月~9月)が雨季なのですが、この年はまだ移動生活をしており、かつ5月と7月に日本にも一時帰国しており、雨が少ないとは私は特に感じていませんでした。
このときは家庭菜園も始めていなかったので、天気はあまりに気にかけてもいませんでした。
しかし、旦那氏は雨が少ないとぼやいていたのは覚えています。
2018年の乾季の前(9月)
旦那氏が2018年の雨季は雨が少なかったから、今年はブッシュファイヤーが起きるかもしれないと言い、野焼きを本格的に始めました。
野焼きを始めると火が落ち着くまではファームから離れることができないので、これまではあまり野焼きはしていませんでした。
しかし、この年に旦那氏の予感が当たったら怖いのでと広範囲を焼きました🔥
そしたら、その炎が風に煽られファームの外まで燃やしてしまい、近所の人が消火の応援に来てくれるという展開になってしまいました。
その様子はブログを始めたての記事に書いています↓
当時はこの超広範囲にわたる野焼きをやり過ぎだと責める人もいました。
しかし、それが数ヵ月後に彼らを救うことになります。
2018年の乾季(12月)にブッシュファイヤー発生
結婚して初めてクリスマスとお正月を日本で迎えられると12月中旬からルンルンで旦那氏と一時帰国をしていましたが、12/20に近所でブッシュファイヤーが発生したと連絡がきました。
そして12/25に急遽オーストラリアへ戻るも、時すでに遅し。敷地800ヘクタールのうち600ヘクタールが燃えてしまいました。
全部で10,000ヘクタールを焼いたブッシュファイヤーですが、一番被害を受けたのは我がファームでした。
というのも、我がファームは州の森林保護エリアに隣接しており、そちら側の整備ができていなかったために燃え移ってきたのです。
近所は私たちが9月にした野焼きのおかげで被害が最小限におさまっていました。
2019年の乾季(1月~)
その後も全く雨が降らず、3月初旬にようやくまとまった雨が降り、ブッシュファイヤーの終わりを確信することができました。
3ヶ月以上雨がまともに降らなかったのです。日本じゃこんな事ありませんよね。
それまでの3ヶ月間は、雨のない中ただ埃にまみれてブッシュファイヤーと闘いながら壊れたフェンスを直したり溶けたパイプを繋いだり、重機で整地したりとものすごくしんどかったです。
燃えてしまった600ヘクタールのうちの半分は人災によるものでもあり、それに対する怒りが収まらない旦那氏は毎日怒っていました。
旦那氏にとってこの時がファーム人生最大の難関だったと言いますが、このときの彼はそこまでしなくてもと思うほど毎日本当に必死で、いつか倒れてしまうのではないかと見ていて怖かったです。
2019年の雨季(5月~)
我が家には雨水が溜まってできる20ヘクタールの湖があるのですが、雨が降らなさすぎてこの時すでに湖はかなり小さくなっていました。
2017年の湖↓
どこまでも水が広がり木は水の中に浸かっており、カヌーを楽しむこともできました。
2019年5月の湖↓
4分の1のサイズになり木は水の外、パッと見は水がありますがかなり浅くなっているためカヌーはできません。
3ヶ月予報でこの先も雨が少ないと分かっていたので、旦那氏は今ある水を少しでも保存するために湖の周りに深い溝を掘りたいと言い出し、22トンのシャベルカーを購入。
水は表面積が狭い方が蒸発するスピードが遅まるので、残りの水をそっちへ流そう作戦です。
旦那氏は隙間時間を見つけては、もしかしたらいつか降るかもしれない大雨のためにどんどん掘り下げていきました。
しかし、この雨季も大ハズレ。
2019年の乾季(10月~)
いよいよ湖は小さくなり、10月には旦那氏の掘った深い溝に少しだけ水がある状態になり、11月には完全に空っぽになってしまいました。
2019年11月の湖↓
湖の中↓
湖がここまで干からびたのは14年振りのこと。
こんなカラカラな湖を見て私はショックでしたが、旦那氏はこれを逆手に湖全体を掘り下げる計画を始めます。
湖の底にはピートと呼ばれる泥炭があり、これは天然肥料になります。ピートは湖が乾ききったときにしか採れないので、これを14年振りにごっそり採取することにしました。
手持ちの重機で作業を進めるも湖の面積が広すぎて効率よく進まず、大きめのローダーを購入。
それから一気に作業効率が上がり、4月までに3200トンのピートを採取しました。
実はピート採取は私たちにとっては一石二鳥!
ピートを採取
↓
湖が深くなる
↓
貯水量が増える
いつの日かの雨に備えて、備蓄エリアを増やしたのです。
2020年の雨季直前(3月~4月)
この大量に採れたピートは、干ばつとブッシュファイヤーの消火活動で削られてしまった芝を復活させるために使いました。
ブッシュファイヤーに遭ってから芝が弱ったうえに干ばつがとどめをさし、この頃にはヤギの食べる芝の確保がとても難しくなってきていました。
ブッシュファイヤー以降は放牧エリアには食べるものがほとんどなかったので干し草を与えていましたが、この頃にはどこのファームも自分ちの家畜を賄うので精一杯。干し草を買うことも難しくなり、少しでも食べるもののある空っぽの湖エリアへ開放していました。
そんな中、今年の3ヶ月予報ではこのエリアは雨が多めだと発表されました!!
この大量に採れたピートを弱った芝の上に撒いて雨が降ってくれれば芝が復活することを狙って、3月からピートを撒きまくりました。
しかし、『オータムブレイク』と呼ばれる雨季開始のサインの雨が降らない日々が続きました。
東海岸では4月に大きなオータムブレイクがあったというのに、私の住む西には音沙汰無し。
このままでは、撒いたピートも風に煽られて無駄になってしまう。ピートが無駄になるということは、この半年間の努力が水の泡に。。。
2020年の雨季(5月~)
4月は雨季なはずなのに、今年の4月の降水量は10mm以下と今年の最低記録でした。
この頃からこのエリアの深刻な干ばつの様子がニュースにも取り上げられるようになりました。
毎日のように雨よ降れと願い続け、ついに5/8から雨が降り始め1週間で21mmという良い雨が降りました!
これを機に少しずつ芝が生えてきましたが、持続的な雨ではなかったので干ばつを救うまでには至りません。
5月はこんな感じで一瞬の喜びとなり、その後はほんの少ししか降りませんでした。
6月は更に雨が少なく、この頃から近所のファームでは家畜を手放す人が増えていきました。
通常、家畜用の水はダムに貯めた雨水を使いますが、ダムが空になったファームは水を買い続けるしかありません。これを続けていても採算が取れないと言って家畜を売り払う人が急増したのです。
3ヶ月予報はまたもや大ハズレ。
7月に入り少し雨がちな日が増えましたが、雨季にしては全然足りません。
雨が降っても風の強い日が多く、そうなると水はすぐに蒸発してしまい、むしろマイナスになってしまいます。
ここまで乾燥してくると、ちょっとやそっとの雨は地面に吸収されるだけで、その日しのぎだけであまり意味がありません。私たちが必要なのはダムに溜まるようなまとまった雨です。
我がファームではヤギを増やし続けたいのにこのままでは餌がなくなり本当にヤバイということで、7月末にヤギの餌としてオーツ麦栽培に着手しました。
もちろん雨が降らなければ発芽してくれませんが、何もしないよりはマシだと旦那氏。
雨予報直前に種を撒きましたがすぐ発芽するわけでもないので、種に群がる野鳥を見てはもどかしい気持ち。
そんな感じで2020年7月は過ぎていきました。
ついに記録的豪雨到来!
通常ならばこのエリアの年間降水量は600mm、それに対し2020年1月1日から7月31日までの7ヶ月で降水量は191mm。
雨季は半分以上過ぎているのにこの状態です。
そんな8月1日に、明後日から大雨がやってくるという予報を見ました。
しかしここ数年、雨予報を見てもハズレ続きだったので今回の大雨予報を見ても大して期待していませんでした。
それが8/3の朝4時、雷の音で目覚めました。
その後に雹が10分ほど続き、大雨。
明るくなってから雨量計の確認をしに行ったら、なんと満水の26mm!
たった4時間で26mmも降ったのです。
その後も勢いが弱ることなる降り続く雨。
さらに4時間後にも26mm!!
この頃から少しづつ雨が湖に溜まり始めました。
雨水はひとまず旦那氏が昨年掘った溝へ流れていき、溝が溢れたら湖へと広がっていきました。
この雨は午後には緩むも24時間止むことなく続きました。
今朝から止むことなく続く雨‼️
— 兼業農家👩🌾ナイーブME in 🇦🇺 (@kengyonouka) 2020年8月3日
なんと今朝の記録から更に26㍉降った☔現在合計56㍉☺️
ここに来てこんな雨体験したことなくて興奮しています🤩
25000㍑の雨水タンクが2つともオーバーフロー中‼️
今晩は数ヶ月ぶりに風呂が沸かせそう♨️#オーストラリア #田舎暮らし pic.twitter.com/8rVLEWjcbE
何年ぶりだかに生活用水のための雨水タンクが満水になり、数ヶ月ぶりにお風呂に入れました!!
昨年に立派なお風呂場を建設したにもかかわらず水に余裕がなかったので、建設から10ヶ月経ちますが、今までで10回ほどしか入ったことがありませんでした。
夜も雨音を聞きながら眠りにつき、翌朝カーテンを開けて見えた景色は・・・
湖に水がたくさん入ってる!!
この景色は夢かと思いました。
雨量計を確認して、前日からの24時間で107mm降ったことが分かり現実だと確信。
湖を近くまで見に行くと・・・
どこまでも水が続いていました。
この日のローカルニュースはこの雨で話題がもちきりでした。
Facebookには雨の写真や動画がたくさん投稿され、ニュースではインタビューを受ける隣町のファーマーの興奮した嬉しそうな顔。
なかには、2歳の子どもが降り止まない雨を見て『これは何?』と聞いてきたというエピソードがあり、この子にとっては生まれて初めての大雨だったということが分かります。
この雨はこのエリア全てのファーマーを安心させるものでした。
私はとにかく旦那氏の苦労が報われたと思うと嬉しくて仕方がありません。
ブッシュファイヤー以降毎日くたくたになるまで働き、『いつの日かの雨』を信じてありとあらゆる手を打ってきた旦那氏。
特に1年前から始めた湖の貯水量を増やした計画は見事に大当たりで、これには大満足です。
これからまた雨が続いてくれるのかは分かりませんが、とにかく雨のしっかり染み込んだ土台が得られたこと、そして当面の生活用水が確保出来たことはとてつもなく嬉しいです🙂
8/3以降なかなか晴れた日がありませんが、今日8/6の一瞬の晴れ間に太陽が反射した湖を見ました。
それはそれは眩しくて、涙が出そうになりました😂
とりあえず、今日までの苦労話はここまで!
ファーミングには終わりがないのでまだまだ苦労は続きますが、こうやって書き出すことでスッキリできました◎
日々の苦労や発見はTwitterですぐに吐き出すようにしていますが、やはりドカっと吐くには自分のブログが一番です。
ここまで読んでくださった方、お付き合い本当にありがとうございます🙂
これからも当ブログでは、ファームライフの苦楽をどんどんと語っていきます!!
長文は苦手だけどファームライフが気になるという方は、是非Twitterで確認してみてくださいね!